亡くなった方に財産があった場合、誰がどのように相続するかを巡って遺産争いが起こることがあります。
法律では、法定相続人が相続権を主張できる「遺留分」を定めています。しかし、相続人にもそれぞれ「数年間にわたって介護した」、「教育資金を援助してもらった」といった事情があると、法律に従って分けるだけでは納得できないという相続人も出てきます。
そんなとき、遺産争いの解決法として行われるのが「遺産分割」という制度です。
遺産争いが起こったとき、まずは相続人同士で話し合いが行われます。これを「遺産分割協議」といいます。民法では、まず協議をしなければ裁判などに持ち込んで争うことはできないと定められています。協議で解決しなかった場合は、裁判手続を利用することになります
遺産分割の裁判手続きには「調停」と「審判」があります。遺産分割調停は、裁判所が選任した調停委員を調整役として加えて、さらに話し合いを行うというもの。遺産分割審判は、相続人がそれぞれの主張を裏付ける資料などを提出し、それに基づいて裁判官が遺産分割の仕方を決定するという方法です。
遺産分割調停をせずに、遺産分割審判に持ち込むこともできます。しかし、ほとんどの場合は裁判所の勧めで調停を行うことになります。
遺産として相続されるものには、現金や預金、不動産、有価証券、ゴルフ会員権など、様々なものがあります。それを換金したりせずに、そのまま分けることを現物分割といいます。
妻には自宅の家と土地、長男には有価証券、長女には別荘、次男には現金と預金といったようなケースが現物分割です。
現物分割では、相続の割合に従ってきっちり分けることが難しくなります。場合によっては、分け前が多くなってしまった相続人が、他の相続人に対して金銭を支払うことで解決することもあります。
不動産や有価証券などを売却して、すべての遺産を現金化した上で分ける方法を換価分割といいます。換価分割なら公平に分けられるので、相続人が納得しやすい方法といえます。
しかし、すべての遺産を売却するまでに時間がかかってしまうことも。さらに、遺産を処分した際に発生する譲渡取得税や諸手続の費用なども考えておく必要があります。
相続分以上の遺産を得た相続人が、他の相続人に対する代償として自己資金を支払うという方法です。
遺産が自宅の土地建物だけなのに、相続人となる子どもは3人いるといったケースでは、現物分割も換価分割も現実的ではありません。長男がすべての遺産を相続する代わりに、代償として長男の資産から弟と妹に200万ずつ支払うという解決方法が代償分割です。
遺産相続する際は、プラスの財産のみを相続するわけにはいきません。借金などのマイナスの財産も相続の対象になります。マイナス分をプラスの財産で精算してから分割できればベストですが、マイナス財産の中にも現物分割や精算が難しいものもあります。
遺産分割を行う際には、まずすべての資産をリストにすることから始めましょう。そしてマイナスの財産についても、誰が相続するのかを決める必要があります。
また、遺産分割は決着までに時間がかかりがちです。遺産分割が終了するまでは、すべての遺産は相続人全員の共有財産という形になります。その状態だと、配偶者への相続税軽減特例などが受けられません。
遺産分割をなるべく早く終わらせるためには、相続人全員の協力が不可欠です。互いの主張がぶつかり合って協議に時間がかかりそうな場合は、早めに弁護士や税理士といった相続の専門家に相談することを視野に入れましょう。それが公平でスムーズな遺産分割を行う秘訣です。
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※当ページの制度や税率は2017年1月時点のものです