生命保険をかけていた方が亡くなったときは、生命保険会社から死亡時保険金が支払われます。死亡時保険金も相続税の対象ではありますが、遺族の生活を守るために非課税枠が認められています。
相続税の対象となるのは、死亡時保険金から非課税枠の金額を引いた分のみです。例えば、相続人が妻と子ども1人だと、非課税枠は1,000万円になります。死亡時保険金をすべて妻が受け取ったとしても1,000万円までは相続税が課税されません。
遺産が現金のみだと、その金額すべてが相続税の対象になってしまいます。しかし、生命保険の死亡時保険金であれば、非課税枠分を超過した金額に対してしか相続税がかかりません。そのため現金で残しておくよりも節税ができるわけです。
また、死亡時保険金は保険会社に対して請求手続きをとると、約1週間程度で支払われます。葬儀費用や納税費用としてすぐに現金が必要になった場合でも、死亡時保険金で支払うことができるのもメリットです。
生命保険は大きく3種類に分けられます。
定期保険とは、いわゆる掛け捨てタイプの生命保険です。保険期間が限定されている分、月々の保険料が安くなります。
終身保険とは、被保険者が亡くなったり高度障害になった時に、保険金が支払われる生命保険です。保険期間は一生涯で、ほとんどの場合は入院給付や積み立てがセットになっています。
養老保険とは、満期になったときに保険金が支払われる生命保険です。つまり、貯蓄に力を入れた保険といえます。そのため月々の保険料も、定期保険や終身保険に比べて割高になっています。
どの保険が向いているかは、家族構成や収入などによって変わってきます。自分にとってベストの生命保険を選ぶためにも、保険会社や税理士に相談してみましょう。
ただ、注意しておかなければいけないのは、相続税の非課税枠が適用されるのは死亡時保険金のみだということ。満期保険金や解約返戻金は非課税枠の対象になりません。
生命保険の死亡時保険金については、相続税の非課税枠が認められています。しかし、契約者と保険金受取人の関係によっては、相続税ではなく贈与税や所得税が適用されることがあります。
例として、夫と妻、子ども1人の3人家族で考えてみましょう。自分が亡くなったときのために夫が自分に対して保険を契約して、保険金受取人を妻や子どもにした場合、死亡時保険金にかかるのは相続税です。
ところが、夫が妻に保険をかけて、保険金受取人を夫自身にした場合は所得税となります。さらに、夫が妻に保険をかけて、受取人を子どもにした場合は贈与税がかかります。
この3パターンを比較すると、「基礎控除」と「生命保険の非課税枠」が使える相続税が一番の節税になるといえます。
生命保険は、相続税を節税するために非常に有効な手段です。また、請求手続きをとれば1週間程度で払い込まれるため納税資金の財源にもなります。
しかし、よく考えて契約者と被保険者と保険金受取人を決めないと、まったく節税にならないこともあります。
死亡時保険金を多くしようとするあまり、月々の保険料が大きな負担になることも。ただ、支払った保険料の一部は所得から控除されるので、結果として生前の所得税や住民税が安くなるという利点もあります。
そういった細かい部分まで考えて、自分にぴったりの生命保険を選ぶのは、なかなか難しいことです。節税の手段として生命保険を選ぶなら、まずは生命保険会社や税理士に相談してみましょう。
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※当ページの制度や税率は2017年1月時点のものです