遺言書作成 ~相続税を節税するための生前対策~

遺言書とは?

財産の管理や処分を信託された跡とりなどが行うことができる仕組みです。

  • 故人の希望で自由に遺産を分けることができる
  • 法定相続人以外にも遺産を残すことができる
  • 遺産分割協議を行わなくても相続できる

多くの方はご存知だと思いますが、遺言とは、故人が最後に残した言葉や文書のことです。一般的には「ゆいごん」と言いますが、法律用語としては「いごん」と呼びます。

遺言書の多くには財産の分割方法などが書かれています。遺言書に従って財産を渡すことを「遺贈」と呼びますが、遺贈で渡された財産は法律的には相続ではなく贈与になります。

相続は民法によって定められた法定相続人しか受け取ることはできません。しかし、贈与はまったく関係ない第三者に財産を渡すこともできるのです。

特に遺言書を残しておきたいケース

1.内縁関係の夫婦

内縁関係の夫婦の場合、どちらかが亡くなっても財産を相続することはできません。相手に財産を残したいのであれば、遺言で言い残しておく必要があります。

2.子供がいない

配偶者がいても子供がいなかった場合、民法では故人の兄弟姉妹にも相続権が発生します。配偶者に全財産を残したいなら、遺言を残しておきましょう。

3.法定相続人がいない

配偶者・直系の子孫・父母・祖父母・兄弟姉妹といった法定相続人が1人もいない場合、遺産は最終的に国のものになります。世話をしてくれた人に財産を残したい、慈善団体などに寄付したいといった希望があるなら、遺言を残す必要があります。

遺言書に効力を持たせるためには?

遺言書は満15歳以上であれば、誰でも残すことができます。そして、遺言書に何を書くかは個人の自由です。ただし、遺言書の内容が効力を発揮するためには、法律に定められた形式で作られてなくてはなりません。

民法では、相続人とされる範囲や相続人が最低限受け取れる「遺留分」と呼ばれる相続分が定められています。いくら遺言書に書き残してあったとしても、遺留分については故人が勝手に処分することはできません。

法定相続人とされているのは、故人の配偶者・子・両親・兄弟姉妹です。法定相続人が亡くなっている場合は、その子孫が代襲相続できます。

法定相続人に認められている遺留分は、相続人が故人の両親や祖父母のみの場合は全財産の1/3、故人の兄弟姉妹のみの場合はなし、それ以外の場合は全財産の1/2です。その遺留分を相続人が法律に従って分け合うことになります。

遺言書を作る場合は、あらかじめ遺留分にも配慮した内容にしておくと財産分与がスムーズにできます。

遺言書を作っておくメリット

遺言書がなかった場合、遺産は法定相続人同士の話し合いによって分割相続されます。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。

遺産分割協議には、法定相続人以外の人が参加することはできません。さらに、遺産分割協議は法定相続人全員で行う必要があります。後になって「法定相続人がもう1人いた」と分かった場合は、遺産分割協議を最初からやり直さなければなりません。

遺産分割協議は遺族にとっても大きな負担となります。しかし、遺産分割について遺言書に明記されていれば遺産分割協議を行わなくても相続できます。

法定相続人に認められている遺留分は、相続人が故人の両親や祖父母のみの場合は全財産の1/3、故人の兄弟姉妹のみの場合はなし、それ以外の場合は全財産の1/2です。その遺留分を相続人が法律に従って分け合うことになります。

遺言書には、故人の希望をかなえるだけでなく遺族の負担を減らすという効果もあるのです。

遺言書作成の3つの方法

1.自筆証書遺言

遺言書作成でもっとも簡単な方法は、自筆証書遺言です。

遺言したいことと日付、氏名をすべて自筆で書いて、印鑑を押してあれば自筆証書遺言として認められます。すべて自筆で書かなければならないのは、筆跡によって本物の遺言かどうか証明するためです。

自筆証書遺言は原本1枚しか存在しません。もし、「自分にとって不利なことが書かれているかも」と考えた相続人が遺言書を隠したり捨てたりしてしまうと、遺言を伝えることができません。内容が書き換えられたり偽造されたりする可能性もあります。

そういった危険を避けるために遺言書の存在を秘密にしておくと、死後にスムーズに発見されず、遺言がまったく伝わらないことも。特に問題なく遺言書が発見されたとしても、形式や内容に不備があれば無効とされてしまいます。

また、法律では遺言を残した人が亡くなったらすぐに、遺言書を家庭裁判所に提出するよう定められています。家庭裁判所は提出された遺言書に不備などがないか確認する「検認」という作業を行います。

検認作業には、早くても1ヵ月程度の時間がかかります。いくら遺言書に明記されていたとしても、検認が済まないうちは相続手続きを進めることができません。もし、相続人に当座の現金や預金がなかった場合は、生活に困ってしまうことにもなりかねません。

2.公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言者が希望する内容を公証人が公正証書にしたものです。

公正証書遺言の原本は公文書として公証役場に保管されるので、書き換えられたり偽造されたりする心配がありません。そのため、公正証書遺言は家庭裁判所での検認が不要となっています。

公正証書遺言を作るには、遺言したい内容を公証人に伝えなければなりません。公証人のいる公証役場は、各都道府県に最低2ヵ所、全国で約300ヵ所設置されています。病気などで公証役場に行けない場合は公証人に自宅や病院まで出張してもらうこともできます。

しっかりした遺言を作るには最適な公正証書遺言ですが、手続きが面倒というデメリットもあります。

公正証書遺言を作成をする場合、あらかじめ戸籍謄本・印鑑登録証明書・財産目録・不動産の登記簿謄本といった書類を用意しておく必要があります。 公正証書遺言の作成には、遺言を残す遺言者と公証人の他に、証人2人が必要になります。証人は遺言の内容に間違いがないか確認して署名・捺印します。そのため、遺言の内容を証人に秘密にしておくことはできません。

公証人には、公正証書遺言作成の手数料を支払う必要があります。公証人への手数料は、公正証書遺言に書かれた内容や遺産の額によって変わります。自宅や病院まで出張してもらった場合は、交通費や日当も遺言者が負担します。

秘密証書遺言

どうしても遺言の内容を誰にも知られたくない場合、秘密証書遺言という方法もあります。これは自分で作成した遺言を密封した状態で公証役場に持って行き、公証人に「本物の遺言が存在すること」のみを証明してもらう方法です。

遺言書そのものは、自筆の署名と捺印がされていればパソコンで作ったものや代筆してもらったものでもかまいません。遺言書が書き上がったら、封筒などに入れて封をして遺言書に押したものと同じ印鑑で封印します。

公証役場に出向く際には、2人以上の証人が必要になります。遺言者は、公証人と証人の前に遺言の入った封書を提出し、自身の住所氏名や自身の遺言であることを申請します。

公証人が遺言者本人の遺言であることを封筒に書き記し、遺言者と証人が署名捺印すれば秘密証書遺言となります。完成した秘密証書遺言は、遺言者が持ち帰って保管することとなります。

ただし、公証人が確認するのは遺言書の存在のみで、内容を確認をするわけではありません。そのため、内容に不備があった場合は、遺言書が無効とされてしまう危険があります。また、遺言者が亡くなったときには家庭裁判所での検認が必要になります。

手続きが面倒で手数料もかかるため、どうしても遺言の内容を秘密にしておきたい場合以外は、あまりおすすめできません。

遺言書作成を成功させる3つのポイント

  • 1.法律に定められた形式を守る
  • 2.あらかじめ法定相続人の遺留分を考えて内容を決める
  • 3.相続の手続きを迅速に進めるために公正証書遺言にしておく

遺言書作成の3つのデメリット

  • 1.形式や内容に不備があると無効になってしまう
  • 2.自筆証書遺言の場合は、紛失、書き換え、偽造などの危険がある
  • 3.公正証書遺言を作成する場合は、さまざまな書類や手数料が必要になる

遺言書作成をお考えの方へ

「遺言なんて、死期が近づいてからするもの」と考えている方もいると思いますが、どんな人でもいつ何があるか分かりません。もし不慮の事態が起こったときに、残された家族や関係者が困らないように配慮しておくのが遺言の役割です。

逆に言えば、歳をとって判断能力がなくなってからでは、遺言書を作成することもできません。元気なうちに遺言を残しておくことで、自分自身も家族も安心して生活できるようになるという利点もあります。

特に、法律では保証されない内縁関係がある方、世話になった人や子どもの配偶者など法定相続人ではない人に遺産を残したい方は、遺言書を作っておくのが最も確実な方法です。

遺言書の作成自体は、それほど難しいことではありません。しかし、確実に執行できる遺言書の作成には、法律的な知識が必要になります。不安がある場合には、税理士などの専門家に相談してみましょう。

遺言書作成でご不明な点があれば、創業39年・相談実績10,000件以上を誇る相続税申告のあすかにお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

当ページの制度や税率は2017年1月時点のものです

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